JSAI2024 3日目: 地震研究と人工知能
機械学習と地震学
物理モデルとドメイン知識
地震観測データを活用したアイデアソンを開催予定
物理深層学習の3次元断層すべり発展モデルへの適用
断層面の摩擦特性の空間不均質
速度・状態依存摩擦則 Rate and State Friction Law (1979)
GNSS + 地震サイクル計算
余効すべり (2015, 2020)
微分方程式と初期・境界条件を損失関数に取り込み、NNを最適化する手法
物理深層学習
PINNsを3次元断層すべり問題に適用し、摩擦パラメータ空間分布推定に利用
豊後水道L-SSEモデル (2019)
準動的運動方程式 (1993)
2つのNNのパラメータを同時に最適化し、損失関数を最小化
シミュレーション変数の時空間発展
摩擦パラメータ空間分布
学習iter=3000あたりで急に円状パッチを見つけられた
iter<3000でまずは観測データにフィットして
以降で物理法則を反映し始めた
B-PINNs (2021)
計算コストが大きくて地球物理への応用例が少ない
ラプラス近似
震源推定する研究事例もある
深層学習を用いた走時読み取りモデルの問題解決に向けて
地震波の到着時刻=走時
これが最も精度がいいらしい
深層学習を用いた地震検出
連続波形から走時読み取り → Phase associaton(ここで地震検出) → 震源決定
課題
データの地域性と成分数
地震計の記録解像度(サンプリング周波数)
大地震や注水実験のような地震活動が活発なときにはそもそも深層学習モデルは向いていないのではないか
一つのトレース内に複数の地震波が存在する場合、地震波の検出漏れが起きる
最初と最後の地震波しか検出できない例
https://gyazo.com/18bd570ade523afeaaf55473da979281/thumb/480#.png
Long contextで与えた情報の読み飛ばし問題みたいで面白い(LLMは最初と最後しか見ていなかった的なやつ)daiiz.icon
重み付きクロスエントロピー誤差
検出精度がかなり高い
学習データと異なる地域での推論
様々な振幅の地震波が含まれるときの推論
連続波形への適応
ウェーブレット係数のガウス過程回帰に基づく地震動波形の空間内挿
初動期における稠密な地震動予測の需要
例: 地震発生後に新幹線を運転再開してよいか?
波形を内挿するのは難しい
位相の影響が大きい
例: 逆位相の波形を単純に足し算すると打ち消し合ってフラットになる
スカラー値の内挿問題にできた
西南日本のGNSS地殻変動時系列の深層学習によるスロースリップのシグナルの自動検出
地殻変動時系列
プレート境界で起こる多様なすべり現象のごく一部
スロースリップイベント(SSE)
地面のゆっくりとした動きをミリ単位で測定できる
ソフトバンクの基地局もGNSS観測に活用しようという動きもある
観測点が3300点追加になる
テンプレートマッチング
CNNベースのモデルで時間窓にシグナルを含むか否か
過学習の懸念もあるが高精度
GNSS実データを用いた機械学習に基づくSSEシグナル検出の枠組み
夏季に見逃し割合が高い
水蒸気によるノイズの影響?
地震LODの拡張と利活用
知識グラフ
さまざまな「知識」の関係をグラフ構造で表現
知的システム開発基盤となる知識ベース
関係性を示したリンク
事物や事柄を関係性で接続する
DBPedia
Wikipediaの情報を構造化したデータ
地震と解釈するための推計データ
地震を記述するためのRDFデータを作る
気象庁
地震カタログ
課題
観測網をまたいで検索できない
地震にIDが振られていない
観測網ごとにデータのフォーマットが違う
データ公開サイトのUI/UX
パーマリンクを持たないため自動収集が難しい
データのフォーマット
再現性のあるデータの取得方法を確立したい
https://gyazo.com/6d6992b37104b3dd5c98f3b910766c58
予稿集より引用
地震LODの拡張
FDSN
STEAD
KnowWhereGraph
(災害?)イベント名、場所のポリゴン情報を取得
スキーマの再利用
地震情報の検索
質疑応答
地震研究者にとっては基礎的な情報は収録されているようだが、このLODから新しい知識を取り出すことはできるか?
地震学の初学者である情報科学者に向けて、入門のハードルを下げようという試みから始まった
ほかのLinked Dataと接続できることにも価値がある
メモ daiiz.icon
内挿: 既知の数値データ群(サンプルデータポイント)をもとに、計算によって未知の部分の値を推定する手法 ランプ関数